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ご挨拶

2007年度より特別支援教育が制度化され、従来の学校教育のなかで対応が不十分だった学習障害、ADHD、アスペルガー症候群、高機能自閉症などの発達障害を持つ子どもたちも特別な支援の対象となったことは皆さんご存じのとおりです。
見晴台学園は制度に先立つこと17年前、1990年4月に開校した全国的にも例のない、学習や発達に遅れを持つ子どもたちのために親や賛同し支援してくださる多くの方が協力して創り、運営する無認可の“学校”です。

20年に及ぶ学園の歩みは寝ている時も泳ぎ続ける回遊魚のごとく常に目の前の課題一つひとつに向き合う日々でした。
開校当初は、行き場のない子どもたちが学校らしくない学園を自分たちに必要な場所と認めていく過程、文字通り“無”から“有”を生み出す学園づくりを親も教員も一緒にたどり、今の学園の形を創ってきました。
また、幾度かの校舎移転を経るたび、あるいは運営の危機や教育内容の課題に直面するごとに、子どもたちにとって学園の教育が必要だという一点に力を出し合い、乗り越えてくることができました。

ここで言う学園の教育とは何か、そこが一番大切なことだと思うのですが、実はその答えを理論的に説明することは私もまだできずにいる課題です。例えば、理念にもある「一人ひとりのねがいに応える教育」をとってみても、これは発達障害児に限らず私たちすべての人間にとって必要とされるべきことだからです。しかし「僕もやってみたい」、「私もみんなのように学びたい」と願っても、そこに発達 の遅れからくる難しさが加味されて、適切な支援や対応がないまま学ぶ機会を損ね、自分に自信を持てずに学校時代を過ごしてきた子どもたちはこれまでも、そして今もたくさんいます。
学園に入学し、授業や行事に活き活きと参加する子どもたちを見ていると、「やった!」、「できた!!」、「みんなでがんばった」、「次もしっかりやりたい」、「今度はこんなことがしてみたい」…、こうした達成感や学習意欲に支えられた自己肯定感、人を信頼し、つながり合う力を育むことが彼らにとって何よりも大切なんだということにいつも気づかされます。
学園の教育とはそういう意味で誰にでも当たり前に必要とされる学びや体験を、学習や発達に遅れがあっても子どもに合わせて保障しようとする、ごく自然な取り組みに過ぎないのかもしれません。そして、その当たり前で自然なことを子ども、親、教員、そしてたくさんの支援して下さる皆さんの協力によって実現させている姿そのものが見晴台学園なのです。

学園長 藪 一之